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ADHD—— “注意欠如・多動症”という意味を持ち、年齢あるいは発達に比べて注意力が足りない、衝動的で落ち着きがないといった特性がある。現在、日本にはこの症状がある人が300万人いるとされており、正式な診断を受けていない人も多く、実際の人数はさらに多い可能性がある。55歳でADHDと診断された君塚匠監督は、「一人でも多くの人にこの症状を知ってもらい、生きやすい社会になってほしい」という思いから、映画を制作することを決意した。

君塚監督自身の実体験を基に描き出されるドラマ映画パートはADHDである夫(内浦純一)と彼を支える妻(蜂丸明日香)、ADHDの特性を持ちながら仕事に取り組む息子(三嶋健太)と見守る母(渡辺真起子)の思いや葛藤など日常が映し出され、当事者と支える家族の想いが丁寧に描き出される。

また、ドキュメンタリーパートでは監督自らスクリーンの前に立ち、街ゆく人々や、日頃から関わりのある人々、精神科医、薬剤師、講師を務める専門学校、さらには就労移行支援事業所を訪ね歩き、ADHDに対するさまざまな声に耳を傾けていく。映画は次第にドラマと現実の境界線を越え、登場人物を見つめる私たちの体内に複数の時間を宿し、目の前にある世界をほんの少し豊かにしてくれる。
プロフィール
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監督・脚本・企画・出演 / 君塚匠
東京都出身。1964年11月29日生まれ。日本大学藝術学部映画学科監督コース卒業。1988年、株式会社フジテレビジョンの契約ディレクターを経て、株式会社テレビマンユニオンに移籍。ドキュメンタリーを中心に数々の作品を手がけ、実績を残す。映画『喪の仕事』(1991)で監督・脚本を務めることをきっかけに、同社を退社し、背水の陣で映画の実現に臨んだ。その後も、フリーランスとして映画制作を中心に活動し、『ルビーフルーツ』(1995)、『激しい季節』(1998)、『おしまいの日。』(2000)、『月』(2000)など、計5本の劇場映画で監督・脚本を手掛けた。また、テレビディレクターとしてもドキュメンタリーやテレビドラマの監督経験を積み、2018年にはNHKドキュメンタリードラマ「小野田さんと、雪男を探した男」で第44回放送文化基金賞奨励賞および第34回ATP賞奨励賞を受賞するなど高い評価を得た。2023年には、NHKドキュメンタリー「6,000曲のパレード 作曲家・梶浦由記」の企画・ディレクションも担当。今作『星より静かに』では、監督・脚本・企画・出演を務めており、第49回湯布院映画祭にて映画祭を締めくくるクロージング上映作品として選出された。著書に「6,000曲のパレード 作曲家・梶浦由記 異才の流儀」(NHK出版)、「もう一度、表舞台に立つために―ADHDの映画監督 苦悩と再生の軌跡―」(中央法規出版)がある。現在、東京服飾専門学校の非常勤講師としてモデル科とファッションビジネス科において「映像表現」の教鞭をとっている。
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佐藤はじめ 役 / 内浦純一
1975年生まれ。富山県出身。1998年に仲代達矢主宰の俳優養成所「無名塾」に入塾。1300人の中から選抜された8名の1人となり、翌年の無名塾25周年記念公演「どん底」でデビュー。2007年、東海テレビ制作の昼ドラ「麗わしき⻤」ではゲイの⻘年・壱岐みちるを演じ、当時を振り返る形で語るナレーションも担当、大きな話題となる。
地元富山での活動にも力を入れており、チューリップテレビ「柴田理恵認定 ゆるゆる富山遺産」へのレギュラー出演をはじめ、地元でのメディア出演や新聞での連載、舞台公演を毎年行うなど、富山の人気タレントとしても確固たる地位を築いている。
主な出演作品に、ドラマ「幸せ咲いた~結婚相談所物語~」(2003)、「麗わしき⻤」(2007)、「夏の秘密」(2009)、「夫のカノジョ」(2013)、「家政夫のミタゾノ」(2016)、「星降る夜に」(2023)、映画『クライマーズ・ハイ』(2008)、『監督・ばんざい!』(2007)、『おかえり、はやぶさ』(2012)、『超高速!参勤交代 リターンズ』(2016)、『大コメ騒動』(2021)、『アウトロダブル』(2022)、舞台「gift〜星空の向こうから」(2014)、「明日花-あしたばな-」(2015)、「素晴らしい一 日」(2017)、「なるべく派手な服を着る」(2019)、「月虹の宿-げっこうのやど-」(2022)、「オミソ」(2023)、「脳天ハイマー」(2023)、「月の海」(2016、2025)などがある。 -
佐藤朱美 役 / 蜂丸明日香
1984年生まれ。富山県出身。主な出演作に、映画『犬も食わねどチャーリーは笑う』(2022)、『還ら去る君へ 〜かえらざるきみへ〜』(2023年撮影)、『お終活 再春!人生ラプソディ』(2024)、『冬至』(2024撮影)、ドラマ・松本清張ドラマスペシャル「顔」(2024)、「マイダイアリー」(2024)、舞台「未来旅行社はじめました」(2021)、「あなたが地球にいた頃」(2022)、「ヒトミ」(2022)、「カミサマの恋」(2023)など。また、イラストレーターとしても活動している。
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村木純 役 / 三嶋健太
1993年生まれ。大阪府出身。2010年ドラマデビュー。舞台、ドラマを中心に活躍。主な出演作に、「下町ロケット」(2018)、「ウルトラマンタイガ」(2019)、「きよしこ」(2021)、「ドラフトキング」(2023)、「日本統一 関東編」(2023)、「沈黙の艦隊 シーズン 1 ~東京湾大海戦~」(2024)、「特捜9 season7」(2024)、舞台では「京の螢火」(2017)、「赤鬼」(2020)、「踊り部 田中泯 『外は、良寛。』」(2022)、「インタクト」(2023)、など。幼少期から習っている空手のほか、殺陣やアクション(歴10年以上)も活かし、映画『レジェンド&バタフライ』(2023)、今後公開作品の日米合作映画『EASTBOUND TRAFFIC』にも出演。野田秀樹率いる東京演劇道場生のメンバーでもあり、現在も世界基準の演技トレーニングを続ける。君塚監督作品ではドラマ「更生補導員・深津さくら 殺人者の来訪〜告解者〜」(2017)に出演した。
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村木貴和子 役 / 渡辺真起子
1968年生まれ、東京都出身。モデルとして活動を始め、映画『バカヤロー!私、怒ってます』(1988)で女優デビュー。1999年、主演を務めた諏訪敦彦監督作『M/OTHER』はカンヌ国際映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞、2007年に出演した河瀨直美監督作『殯の森』はカンヌ国際映画祭グランプリを受賞した。主な出演作に、『愛の予感』(2007)、『2つ目の窓』(2014)、『37セカンズ』(2019)、『平静』(2020)、『ケイコ 目を澄ませて』(2022)、『ナミビアの砂漠』(2024)、『あるいは、ユートピア』(2024)、『港に灯がともる』(2025)がある。
劇場情報
イベント情報
映画『星より静かに』公開記念初日舞台挨拶・トークイベント開催決定!
映画『星より静かに』の公開を記念して、
初日舞台挨拶、上映後のトークイベントの開催が決定いたしました。
みなさまのご来場を心よりお待ちしております。
日時:6月21日(土) 12:15回上映終了後
会場:K’s cinema
登壇者:君塚匠監督、内浦純一、蜂丸明日香、三嶋健太、渡辺真起子、森重晃プロデューサー
日時:6月22日(日) 12:15回上映終了後
会場:K’s cinema
登壇者:君塚匠監督、野間憲治(本作出演、東京服飾専門学校)、脊尾昌壮(本作出演、にじ鶴見)
日時:6月22日(日) 11:30回上映終了後
会場:J MAX THEATER とやま
登壇者:内浦純一
日時:6月22日(日) 14:20回上映終了後
会場:J MAX THEATER とやま
登壇者:内浦純一
日時:6月24日(火) 12:15回上映終了後
会場:K’s cinema
登壇者: 内浦純一、蜂丸明日香
日時:6月25日(水) 12:15回上映終了後
会場:K’s cinema
登壇者:君塚匠監督、さかもと未明(アーティスト)
日時:6月26日(木) 12:15回上映終了後
会場:K’s cinema
登壇者:内浦純一、蜂丸明日香
日時:6月27日(金) 12:15回上映終了後
会場:K’s cinema
登壇者:君塚匠監督、牛山真一(映画監督)
※今後も舞台挨拶は追加予定
北海道・東北
地域 | 劇場 | 公開日 | 備考 |
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北海道 | シアターキノ | 近日公開 | 青森 | シネマディクト | 8月22日(金)~ | 福島 | 湯本駅前ミニシアターkuramoto | 8月予定 |
関東
地域 | 劇場 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
栃木 | 宇都宮ヒカリ座 | 8月29日(金)~ | |
東京 | K's CINEMA | 6月21日(土)~ | |
神奈川 | 横浜シネマ・ジャック&ベティ | 近日公開 | |
神奈川 | あつぎのえいがかんkiki | 7月4日(金)~ | |
茨城 | あまや座 | 近日公開 | |
群馬 | 前橋シネマハウス | 7月12日(土)~ |
信越・北陸
地域 | 劇場 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
長野 | 上田映劇 | 近日公開 | |
富山 | J MAX THEATERとやま | 6月21日(土)~ |
東海
地域 | 劇場 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
愛知 | シネマスコーレ | 近日公開 |
中国・四国
地域 | 劇場 | 公開日 | 備考 |
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広島 | 横川シネマ | 近日公開 |
九州・沖縄
地域 | 劇場 | 公開日 | 備考 |
---|---|---|---|
大分 | ブルーバード劇場 | 近日公開 |
コメント
この映画は、言葉の届かない場所でうずくまっている人に、糸電話を差し出してくれる。たとえ、面と向かって理解し合うことができないとしても、その糸さえ手にしていれば、星より静かな、言葉にならない無言で、誰かとつながっていられる。
胸に棘が刺さるようなドキュメントなのに、爽やかな気持ちになる作品でした。君塚監督の抜群のセンスゆえだと思います。映画『月』をご一緒してから数十年経ちました。今回の作品を通して、新たなる君塚監督に出会えたようで嬉しかったです。
主観と客観と、さまざまな立場から「ADHD」を理解しようとする生の声が詰まっていて、自分自身の考え方、眼差しを改めて底から問われる時間でした。赤裸々で冷静な、素晴らしい作品だと思います。
この映画は小さな小さな一歩かもしれない。忙し過ぎる社会の中で埋もれてしまうかもしれない。だが、少なくとも僕はこの映画と出会ったことで、ほんの一部かもしれないがADHDのことを知ることができた。このことは僕にとって大きな一歩だし、ADHDと共に生きている方々が、今後の僕の人生において埋もれることはない。